ニッチな性癖を探る

コロナとの生活も、善し悪しあれど日常化するにしたがって様々なイベントが復活してきましたね!最近は推しの彫刻家の個展に伺ったりして〝日常〟の素晴らしさを体感している鈴木リズです。

様々な起因があるにせよ、「表現の自由」について取り沙汰されることが多くなってきたクリエイター界隈。創作活動に勤しむ皆さん、そしてそれを楽しむ皆さんにとって生きづらい世の中になってきました。

倫理と表現の狭間で、これから理想や本音、言葉では簡単に表せないような喜怒哀楽を美的表現にまで高めてきた歴史をどのように紡いでいくのか…個人的には非常に気がかりではあります。

さて、こんな始まりになりましたが難しい話は苦手なのでラフに楽しめる話題を。

特殊性癖の記事が大変ご好評をいただいていたということで…💛ありがとうございます!私のケーキまみれのきったない顔面を晒した甲斐があったってモンです。

まさに倫理と表現の狭間で取り沙汰されることが多い特殊性癖ですが、今回は私の公表している性癖であるオクロフィリア(群衆性愛)、ウロフィリア(尿性愛)、スコプトフィリア (性器窃視性愛)、ハイポクシフィリア(窒息性愛)、アノレクタル(異物肛虐愛)の他に好きなもの…BL(ボーイズラブ)について奥の奥まで深掘りしていきたいと思います。

腐女子も腐男子も集合だー!!

BLの起源を探ると見えてくる人間の本質

ご存じの人も多いと思いますが、BLとは男性同性愛を題材とした小説や漫画などのジャンルを指す用語で、対義語としてGL(ガールズラブ)があります。ただ、GLという呼称よりは「百合」と言われる方が一般的に浸透しているかもしれません。

BLも別称として「薔薇」や「やおい」、「男色」と呼ばれることがあります。ただ、やおいに関しては1970年代頃のBL作品において性的描写ばかりが目立っていたため、「山なし」「オチなし」「意味なし」をの頭文字を取って作られた造語という説があり、現代のBL作品には当てはまらないかもしれませんね。

関連して1970年代からBL作品が存在していたことに驚いた方も多いのではないでしょうか。

あるんですよ…何千年も前から!!!!

どうやら世界最古のBL作品は紀元前2000年頃に書かれたとされる古代メソポタミア文学作品「ギルガメシュ叙事詩」にあるそうです。しかもこのギルガメシュ叙事詩とは人間を主人公とした物語では世界最古!!!!人類の文学スタートラインからBL文化は併走していたことになります。

内容は実在していたとされる古代メソポタミア王の冒険のお話。時代と共に受け継がれていくにつれ、様々な脚色・再編をされてきたのですが、萌え脚色を行ったのは「バビロニア人」だと言われています。

興味深いのは、この萌え脚色を行った「バビロニア人」は現在でいうところのバグダードからペルシア湾までの範囲に住む人たち。なんと彼らは同性愛を不道徳とするイスラム地域の民族なのです。

イスラム教の成立は7世紀はじめなので、バビロニア人が同人作家業をしていた(?)当時はそもそも存在していなかったとされるものの、後に同性愛を不道徳とすることになる地域でその文化が培われたことに、禁忌への萌え要素があったことを否定できません。

やっぱりいつの時代も〝不毛の愛のロマン〟に勝てるものはないのねーッ!!!!

日本古来のBL文化とは

勿論、日本でも古くからBLは存在していました。

一般的なのは武士同士の、とくに猛者と言われるような武将には多くの男色話がいまでも語られています。凡そ武将のお相手は部下だったことが多く、拒否することも難しい間柄であったことは間違いない、のですが……厳しい戦の中で男性同士の固い絆が芽生え、自然とそのような関係なった!ということにしたいです、私は。事実は戦国時代にタイムスリップしないと分かりませんが。

そしてその他にも寺院で多く行われていた記録があります。女性と肉体関係を持つと〝女犯〟とされてしまう仏教では、僧侶たちは競って美少年を自分の専属として若衆(ウケ)にしていたという記録があります。凡そ12~20歳の少年が多く、16歳がとくに良いとされていたようです。もう〝若衆〟という響きが良い…!色々とそそる!!

ちなみに男性同士がことに及ぶには色々と準備しないといけないのですが、「通和散(つうわさん)」は特に必須でした。

通和散とはいまでいうところの〝ローション〟です。卵白や海藻、植物から取れるぬめりが主原料で「いちぶのり」や「安入散」、「海蘿丸(ふのりまる)」という製品もあったそうで、口に含んで湿らせてから使用したようです。もうその様子を想像するだけでなんか興奮してきた…/////

彼らは自分で作ったり、四つ目屋という当時のアダルトショップで購入していました。自分がこれから使うローションを作っている精神状態ってどんなだろう…。

なぜこんなにもBLは人を夢中させるのか。

2016年9月に矢野経済研究所が実施したアンケートによると、「BLオタク」を自認する人は国内に約74万人存在すると推計されています。年齢層は20代が36.8%と最も多く、女性だけなく「腐男子」と呼ばれるBL好きな男性も男女比で3割程度存在していてその数はいまだに急増しています。市場規模は220億円以上と言われ一見、莫大なマーケットとも思えますが、BL好きが増殖していくヒントがここにありました。

なんと上記のBLオタク層が年間にBLに費やす金額は平均で13,153円。月間に換算すると1,096円!そう、BLはめちゃくちゃお財布に優しい趣味なのです。

その理由は私が先程からギャーギャー言っている部分と繋がります。つまり妄想でお腹をいっぱいに出来る敷居の低い趣味ということです。BLはかねてより同人文化が発達していました。その理由として〝アマチュア層が妄想で己を満たしつつ無料でSNSを用いて作品公開を行うことで、他の大勢の腐女子たちが満たされるというループ〟を繰り返し、BLの輪がどんどん増殖していったとされるのです。

大多数の人が自分の丹精込めた作品はそれなりの価値で取引されたいと考え、「分かってくれる人にだけ分かってもらえれば良い」とこだわりを燃やすことが多いクリエイター界隈ですが、BLに限っては作成過程で半分成果が出ている感覚があり、その点に執着していないそうです。このことからお財布にも優しく、SNSの普及で増殖スピードを増したBL文化が近年になって急速に一般的になってきたのです。

同性愛?性的少数派?

同性愛と聞いてなんとなくマニアックでマイノリティーなイメージを持ちがちのBLですが、実は女性にとっては非常にカジュアルでBL沼にはまっていく原理はシンプルだと考えています。

というのも私が推測する限り、全ノンケ女子はBLを好きになる土壌があります。登場人物に男性が多い分、推しを見つけやすいという特徴があるためです。中には私のようにBLも好き、ゲイビデオも好きと言った雑食過ぎる輩もいますがそれは大変稀なケースと言えるでしょう。

クマ系やリーマン系、ガチムチ等BLには様々な男性が溢れています。そして女子が理想とするような恋愛を繰り広げては、かっこ良かったり可愛かったりセクシーな表情をここぞとばかり見せてくれます。BL作家はほとんどが女性ということもあり、女性のツボを得ているがゆえ全女子がキュンキュンせざるを得ないシチュエーションがしっかりと用意されているのです。

人類とともに共存繁栄していくBL文化

BL好きにはいくつかの段階があり、腐女子(ふじょし)→腐人(ふじん)→貴腐人(きふじん) →汚超腐人(おちょうふじん)→超々腐人(ちょうちょふじん)というレベルがあるそうです。具体的なランクアップ基準は不明ですが、腐女子たちのBLへ心酔することへのポジティブな感情が読み取れるのではないでしょうか。

BLを探れば探るほど、世間に浸透してきた理由が明確になってきました。歴史的観点、経済的観点、社会的観点のいずれもBLが流行って当然の状況がそこにあったのです。

BL文化は今後も止まらぬ進化を続け、更なる発展を遂げていくことでしょう。そこに〝倫理と表現の狭間〟なんていう障害はちっぽけなものなのかもしれません。