同人AVの歩き方 ~ステップ⑤:前編・実際の撮影に向けての基礎知識~

写真協力:ホームランゆたか/LOOKS.TOKYO

AV新法施行から4か月が経過し、あと1か月で施行後最初の作品が世に出回ります。これまでのAV業界の歴史を考えてみると、史上初ともいえる「法律で認められたAV」が誕生する記念碑的な年になると個人的には思っています。

そして今後は新しい法制下でのAV制作の流れがどんどん効率化していき、確立していくこととなり、メジャーである適正AVのみならず、同人AVにも(健全化も含めた)新たな波がやってくると期待しています。

過渡期特有の混乱を乗り越えて、適正・同人問わず、ここから再びシーンが活性化すると信じつつ…今回の「同人AVの歩き方」はステップ⑤、いよいよ実際の撮影時のノウハウについて語ってまいりたいと思います。

◆前回のおさらい ~撮影日を迎えるまでにすべきこと~

出演してほしいモデルのキャスティングが決まり、各種契約締結から1か月が経過したらいよいよ撮影です。が、1か月も期間が開いてると、特にマネージャーがいないフリーのモデルは「やっぱりやめようかな」と思ったり、または単純に撮影のことを忘れてしまったりする場合もあるかもしれません…。

なので契約から1か月、無事撮影日を迎えられるよう、週に一回くらいは撮影に関する確認事項の連絡をするテイでやり取りをするといいでしょう。ただしあまりにしつこいと相手のテンションが下がってしまうので要注意です。あくまでお仕事に関する内容のみにして、撮影とは関係のないことで連絡をするのはやめましょう。マジで嫌われます(笑)。

◆同人AVの撮影時間(モデルの拘束時間)

ひと口に「撮影」といってもその手法や内容、かかる時間などは実に様々です。現在主流となっているコスプレAVなどは、実際にカメラを回すまでにメイクやウィッグ、衣装の着用・調整といった準備に時間が取られますし、フェチものですと例えばメッシー(ローションや泥、食品、スライムなどで衣服または全身を汚す性癖)なんかも準備と撤収(あと場所選びにも)に時間と手間がかかります。それこそ半日(5~6時間)か、それ以上のいわば「一日仕事」になると思った方がいいでしょう。

それに対して、カメラ1台~2台と、あとちょっとした照明くらいの小規模の撮影ですと、撮影時間をある程度短縮することができます。下記は比較的時間をコンパクトにまとめられるタイプの撮影内容です。

【素人ハメ撮り】
自メイク(こちらでメイク担当者を準備せず、モデル自身に自前でメイクをしてきてもらうこと)で、しかも自衣装(モデル自身の私服&下着を着用または持参してもらうこと)の場合は、撮影に取り掛かるまでの準備時間が短縮できるので一般的には3時間ほど、慣れている人だと2時間ほどで合流~準備~撮影~撤収までこなしてしまいます。衣装や挿入に至るまでの流れ、その他シチュエーションにこだわればこだわるほど、撮影時間が長くなると思ってください。
【フェチ撮影】
フェラや手コキ、足コキ、パイズリ、パーツなど、本編尺が15分~20分くらいで収まるようなものは、大体2時間ほどで終わらせる方も多いです。こうした短いシーンを撮影することを「コンテンツ撮り」ということもあり、3、4時間ほどの時間を取って3~5本の短いコンテンツをまとめ撮りするというやり方をする場合もあります。逆にレン○ルルーム的な場所やネッ○カフェ的な場所で1シーンだけを1時間以内でスピード撮影するような撮影者もいます。その場合はウェットティッシュなどの衛生グッズも忘れずに。

これら撮影にかかる時間は、イコールでモデルの拘束時間となり、支払うギャラにダイレクトに影響します。潤沢な資金がある場合はゆっくりと時間を取ってもいいですし、ゲリラ的な生々しい作風の場合は短時間勝負で勢いで撮り切ってしまうのもいいですし。あとは想定している販売価格に対して何本売れば経費を回収し、利益が出るのかもしっかりと考えましょう。

◆注意!「撮影時間」はカメラを回してる時間だけじゃない!!

撮影するジャンルや内容によっての所要時間の目安は前述したとおりですが、実はこの「撮影時間」はカメラを回してる時間だけじゃないんです。カメラを回す前後、または合間には、ざっくり挙げてもこれだけのことがあります。

①モデルと合流してからモデルの飲食物などを買う時間
②撮影場所に入ってから撮影内容を説明する時間
③お互いの性病検査表を確認する時間
④カメラや小道具等の準備をする時間
⑤シーンの合間のシャワーや着替え、休憩時間

①は最低限飲み物は買ってあげましょう。必要なら軽食やお菓子なども。また、撮影が4時間以上かかるような場合は弁当などの食事も用意してあげるといいでしょう。1時間程度の撮影だと休憩なしで撮り切ってしまうこともありますが、モデルのコンディションは常に流動的であると考えて、⑤の休憩時間は確保してあげてください。

で、基本的に①~⑤のことが必ず入ってくるという想定をしつつ、撮影する内容、シーン(コンテンツ)数を考えていきましょう。約束の時間が過ぎてしまった場合、超過分のお金を追加で支払うか、撮る予定だったシーンを諦めて切り上げるかということになります。モデルが次の予定を入れてしまってる場合は別日の追撮(追加撮影)となるので、契約的にも面倒なことが増えてしまいます。

◆複数のシーン(コンテンツ)を撮る場合はスケジュール表の用意を

というわけで、カメラを回す前後や合間に、意外とやることや気を配ることが多い撮影現場。AVに限らず、映像制作の現場では「香盤表」(こうばんひょう)というものが作成され、当日撮影に関わる全てのスタッフに配られます。

同人の場合、アシスタントなどのスタッフを入れずに1人で全てをやることが多いため、香盤表ほど詳細で大がかりでなくとも、例えば下記のように箇条書き程度でいいので事前にスケジュールを作っておきましょう。また、そのスケジュールを事前にモデルにも伝えておくと、当日の撮影がよりスムーズに進むはずです。

[例] モデル拘束時間3時間・1カラミ(SEX)+2コンテンツの場合

【○月×日(△曜日)※モデル名様 撮影スケジュール
12:00 ○○駅改札にて(モデルと)合流
12:10 ○○スタジオ(その他撮影場所名)入り
12:10-12:25 撮影内容説明~検査表提示
12:25-12:40 撮影機材セッティング(モデルの着替えなども同時進行)
12:40-13:00 シーン①(フェラ)撮影
13:00-13:20 食事休憩~シャワー~衣装替え(私服)
13:20-14:10 シーン②(カラミ)撮影
14:10-14:25 シャワー~休憩~衣装替え(下着姿)
14:25-14:45 シーン③(オナニー)撮影
14:45-15:00 撤収準備~解散

さぁ、ここまでの事前知識を頭に入れたら、いよいよ次は実践編です!撮影時に実際に気を付けたい部分、テクニックなどを解説していきます!!(後編につづく)