春の訪れを告げる桜も満開で気持ちもワクワクとしてくる4月。なんだかこんな季節は気持ちがすごくポジティブでいつもより視野が広がっているような感覚になる鈴木リズです。

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ポジティブで視野が広がっているといろんな新しい物事や人々に出会う機会が増えてとっても嬉しくなります。そんな時に私のなかで起こる現象があるんですが、みなさんは〝キュートアグレッション〟もしくは〝キュートアグレッシブ〟と言う言葉はご存知でしょうか?
簡単に言うと「好きすぎて食べちゃいたい」というアレです。比喩のように使われることが多いこの言葉ですが、実は本当に人間の脳内で起こっている現象だということまで知っている人は少ないのではないでしょうか。私は人間大好きタイプで、出会った人は大好きレベルからスタートするのではじめましての人たちが愛おしくて堪らなくなるんです。
今回は身近にありながら案外知らないことが多い〝キュートアグレッション〟についてみなさんと紐解いていきたいと思います。
好きなのに痛めつけたい?
あなたは誰か(何か)を好きすぎて、可愛すぎて、愛おしくてその対象を思いっきり力強く抱きしめたいとおもったことはありませんか?その感情をさらに増強したものが〝キュートアグレッション〟と呼ばれています。イェール大学出身の心理学者、レベッカ・ダイヤーとオリアナ・アラゴンによってこの衝動がキュートアグレッション(かわいいものへの攻撃性)と名付けられました。具体的にはかわいいものを見ることによって引き起こされる皮相的な攻撃的行動・衝動のことで、好きな人のことを考えたときにふわふわと湧いてくる優しく暖かい感情とは違い、自分のツボとなるビジュアルや行動を見た瞬間に急激に沸き起こる衝動的な感情を指します。
キュートアグレッションの対象は恋愛感情を持つお相手以外にも、画面上で見た動物やそもそも実際には存在しないアニメキャラクターなど場合も多く、様々な場面で私たちに思いもよらない衝動を与えます。相手への攻撃的な衝動のほかに、愛おしい感情が昂ぶりすぎて歯を食いしばったり、こぶしに力がはいることもキュートアグレッションに分類されます。
脳のバグ?むしろ脳の正常反応です!
実はこのキュートアグレッション、脳の防御反応と言われています。本来、好きというポジティブな感情を抱く対象には丁寧かつ大切に扱いたいと思うのが常例ですが、愛おしい!と言う感情が高まり過ぎると、体内でドーパミンやアドレナリンが過剰に分泌され、心拍数や血圧が上がるといった緊張状態になります。 すると自律神経が乱れ、感情を普段のようにコントロールすることが難しくなります。 その結果、興奮状態になったり攻撃的になったりするのです。
この現象が起きやすい人には特徴があり、
・共感性が高い人
・日常的にストレスに曝されている人
・直感力が高い人
・繊細な性格の人
これらの特徴に当てはまる人は、キュートアグレッション現象を感じやすいと言われています。
愛おしいというポジティブな感情でも、あまりに強い思いとなるとそれは脳への過剰な刺激となり、そのストレスを軽減するために衝動的な反応を引き起こします。人間の身体は常に平穏な状態を保つように作られているので身体を安全に機能させるための防御反応がキュートアグレッションなのです。
過剰な好き!は危険信号!!
ではこの衝動をどうすれば和らげることが出来るのか。凡その場合は少し時間をおけば落ち着いてくる人がほとんどですが、逆にさらに感情が昂ってしまう人も存在します。好いているにもかかわらず、傷付けたくて仕方がない、痛がる表情が見たい、というサド性に変化するということもよく見聞きします。双方同意の上であればそれは親密なプレイとして認められるのですが、そうでない場合は一体どうすればよいのでしょうか。
一番の解決策はストレスを緩和させる技術を身につけることです。どうすれば昂った感情をコントロールできるのか、その術を知っておくことは平穏な社会生活を送るためにも非常に有効です。深呼吸をする、飲み物を口にする、別の感情に気持ちの方向転換をする癖をつけるなどご自身で対策できることもたくさんあります。
その他には普段から可愛いと感じるものや愛おしいと感じるものとの接し方を変えていくことも効果的です。感情が昂ぶりやすく、いきなり思いがMAXになりやすい人でも、その気持ちを抱きしめて表現するのではなく、優しく撫でたり感情を言葉にすることで表現する方法に転換すると興奮しすぎる状況を減らし、気持ちが落ち着きやすくなります。
はじめは物足りない、ムズムズとした感情が残るかもしれませんが、本当に大切な人や物を傷付けてしまう場合もあるので強すぎるキュートアグレッショには注意が必要です。
好きな気持ちを押したり引いたりバランスで楽しむ
好きという気持ちはとてもポジティブな感情です。毎日の大変な仕事も育児もこの〝好き〟という気持ちだけに支えられて奮闘し、力を尽くすことが出来ます。それがゆえ、強いパワーを持ちすぎてお相手や自分自身を傷付けてしまうこともあり得ます。キュートアグレッションとはまさにその気持ちが行動として表された形なのです。
ただ恋愛マスターたちはキュートアグレッションを上手に利用してその気持ちの押し引きを満喫しています。甘いだけの言葉ではなく、愛情がある中にも少し攻撃的な言葉を含ませたり、マンネリ化しがちな前戯の合間に軽い刺激を加えたり、お相手をドキッとさせるようなテクニックには必ず少しのキュートアグレッションを孕んでいます。
人間とは我儘なもので、愛されたいと願い実際思い通りに愛されると今度は物足りなくなるのです。少しの不安(恐怖)は恋愛には必須です。スパイスとなるその感情は不信や不実でもたらされるのではなく、自分の範疇を超えた大きな愛情を感じることで、もっと強い愛念を抱くことが出来ます。その時にキュートアグレッションを利用するのです。
ドーパミンやアドレナリンの効果を堪能しつつ、強い感情でしか得られない現象を理解あるお相手と楽しむのも一興です。
【蛇足】BDSMにおけるキュートアグレッションとは
先程、少し触れたように〝愛おしい気持ちが昂り過ぎて、実際にお相手に苦痛を与えお相手の歪んだ表情や自分の起こした行動によって心を落ち着かせる人〟が世の中には多数存在します。
お相手の望む行為を行うことで、ともに悦びを得るご奉仕型とは異なり、本質的なサド性を持った人がこの性質であることが多いように見受けられます。私の働いていたSMサロンにもこのような性質を持った女王様が在籍していて、幼い頃から相手の苦痛に歪む表情を見ることで快感を得ていたと話しています。
このような女王様にお慕いするマゾも普段からキュートアグレッションを体感しており、愛情深い人が多いのではないかと思います。キュートアグレッションの原理を理解し、自分が苦痛に耐えることで慕っている人が悦び満たされることを知っているので、日常であれば耐えがたい身体的苦痛や羞恥行為に没頭し、快楽に変換することが出来るのです。痛みや辱めで深い愛情を感じることが出来るわけですね。今回のコラムでこの現象を理解し、どこかで体感することができればこれまで閉ざされていたあなたの新しい快感の扉が開くのではないかと思います。